山遠征 | 立山に立てこもり #02 湯巡りと怒涛のテント泊

はじめに

みなさんこんにちは。とらちゃんです。

『山遠征 | 立山に立てこもり』では、あーちんと2人で行った6日間に及ぶ立山遠征の山行録をお届けします。

#01では劔アタックの全貌を綴りました。#02では嵐により停滞を余儀なくされた私とあーちんが、3日目と4日目をどう過ごしたかを綴ります。お楽しみください。

3日目 嵐の前の…

早朝、まだ日が昇る前、寒さで目が覚めた。寝袋の中から顔を出し テントの外を覗いてみると、星が見えないではないか。ガスっている。こんな中登っても眺望ないしなあ、ということで再び寝袋に顔を埋めた。起きたら少し晴れていたが、風がかなり強かったので予定していた立山三山周回は明日に延期する事にした。テントから出て キャンプ場を見渡すと、驚いたことに、前日 数十張あったテントが数張しか残っていなかった。まるでこれから嵐が来ると予言しているようだ。一旦見なかった事にして、入浴開始時間にはまだ早いと分かっていながら、私たちは足早に雷鳥荘温泉に向かった。この悪天候だ。案の定、温泉は貸切状態だった。贅沢な貸切入浴の後は、コーヒー片手に カフェで優雅なひと時を過ごした。外はかなり風が強かったのだが、あーちんはみくりが池の方へ行くと言い出した。そちらに行くには地獄谷というガスが噴出しているところを通過しなければならない。一度そこを通ったとき、あまりの硫黄臭に目や鼻がやられ、呼吸をしづらかったので もう通るもんかと思って、私は雷鳥荘でお留守番することにした。しばらくすると雨が降りだして、あーちんが戻ってきた。まだまだ時間を持て余していた私たちは雷鳥ヒュッテに日帰り入浴に行くことにした。本日2湯目である。これまた幸運なことに貸切だった。しっかり長風呂し、テントに戻って夕食を食べ、就寝中にテントが吹き飛ばされないように石で補強して寝た。

あーちんがポールで、フライが本体に張り付かないようにしてくれた

4日目 我が家が…

この日も念の為、夜が明ける前に起きて朝駆けできそうか確認する。しっかり強風が吹き荒れており、一つの星も見えないくらいにガスっていたので、嬉しいかな悲しいかな もう一度夢の世界に戻る。数時間後やっと起きたらもう相方はいなかった。どこかに散策に行ったらしい。のんびり朝食の準備をしていると帰ってきた。朝のお散歩をしていたらしい。朝食を食べながら、今日の予定を話し合う。さすがに風が強すぎて 稜線に出るのは危険なので、泣く泣く停滞日にしようという意見で一致した。ということで今日も今日とて、雷鳥ロッジで朝風呂をかます。その後は室堂にある立山自然保護センターで雷鳥のお勉強をしたり、ホテルのレストランでカツカレーを食べたり、2日前からズブズブに入り浸っている雷鳥荘でぜんざいを食べたり、なんとか自分のご機嫌をとり、そこに山があるのに登れないフラストレーションの解消に努めた。

その頃、キャンプ場で起きている、テントたちの阿鼻叫喚の地獄絵図は知る由もなかった。

日が暮れる前にテントへ戻ろうかということになり、暴風雨の吹き荒れる中、とばされまいと 地面に這いつくばりながらキャンプ場へ向かった。銃弾と化した雨粒を一身に受けながら前進する様は、さながら兵士であったに違いない。ちょうど雷鳥荘のあたりで私たちがテントを張っている雷鳥沢キャンプ場が小さく見え始めるのだが、ここで私は異変に気づいた。私の白いテントが張ってあるあたりで、何やら黒いものがバタバタと風に煽られている。あーちんと、なんかおかしくない?と話しながら(実際は風音が物凄いので叫んでいた)急いでキャンプ場まで続く階段を駆け降りた。近くまできて、ようやく黒いものの正体に気づく。テントのフロアである。そう、テントがひっくり返って暴れていたのだ。慌ててテントを起こし確認すると、想像の通り中はぐしゃぐしゃだった。万一テントが水没した時のために 天井にぶら下げていたシュラフもびちょびちょだ。何回もシェイクされたことは想像に難くない。全てを話すと長くなるので、ここからテントを立て直し、あーちんのテントで夕食を食べたとこまでは割愛する。周りには2,3張潰れたテントが放置してあり、小屋の人の話によると、皆 山荘に避難したらしい。私とあーちんのテント含め3張だけが生き残っていた。もう1人のサバイバーはキャンプ場の隅の隅にテントを張っていたので、温泉に続きここもまた、ほぼ貸し切り状態だった。数周回ってハイテンションになった私とあーちんは、音量マックスで音楽をかけて熱唱した。雷鳥沢キャンプ場でカラオケしたのは私たちが最初で最後に違いない。明日は天気良くなりますようにと神に祈って、エマージェンシーシートにくるまって寝た。

テントの悲鳴が聞こえてくる

コメント

  1. あーちん より:

    悪魔の2日だったね..

    特に4日目笑。風は押されるというより殴られる感じだったし、雨も鉄砲玉のように鋭くて、猛烈に痛かったのを覚えてる。前日に下手に(上手く?)テントをしっかり張って、石垣を築いてから出かけたせいで私らのテントだけぎり耐えてるという(^_^;)

    あれでポールが折れてたら私らも山荘に避難してて、それはそれで楽しかったかもしれないんやけど、真夜中までのカラオケはそれ以上に”ハイ”やった。

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