はじめに
みなさんこんにちは。とらちゃんです。
『山遠征 | 立山に立てこもり』ではあーちんと2人で行った6日間に及ぶ立山遠征の山行録をお届けします。
#00では劔岳アタックに至るまでの経緯を綴りました。#01では劔岳アタックの全貌を、雄大な劔岳と、山頂から望めるアルプスの大展望をうつす写真と共にお届けします。(お届けしたかったのですが、はい、残念なことにそのような写真は撮れませんでした。)どうぞお楽しみください。
雷鳥沢キャンプ場から劔沢キャンプ場へ
くねくねの登山道をひたすら歩き標高を上げていく。途中人だかりができてると思ったら、立山のアイドルこと雷鳥さんがいた。バスターミナル周辺で、すでに雷鳥さんとの緊張の初対面は終わらせていたので、写真を撮ることなくバイバイした。雷鳥沢を出発してから、2時間ほどで劔沢キャンプ場にたどり着いた。テントを張り、夕食の支度を始める。大阪から凍らせて持ってきたステーキ肉とソーセージを取りだす。その高級感とは裏腹に、地図をまな板代わりにし、十徳ナイフでカットして、シェラカップに焦げつかせながら焼く。部活の合宿では基本アルファ米とレトルトなので、個人山行の喜びここにあり!と感じながら、その背徳的な夕食をたいらげた。
眠れぬ夜
時折、劒岳が姿をちらっと見せてくれるだけで、その全貌は拝めぬまま日が沈んだ。明日は早いしもう寝ようかという空気が漂っていた時、神様は珍しく私たちに微笑んだ。星があちらこちらで煌めいていた。その範囲はどんどん広がり、やがて空全体が星で満ちた。慌てて一眼レフを取り出し撮影に没頭した。約1時間ほどで天体ショーは幕を閉じたが、興奮冷めやらぬまま、なかなか寝つくことができなかった。
早朝出発
まだ夜が明けぬうちにキャンプ場を出発した。小屋でヘルメットを借り、はやる気持ちを抑え、数日前の槍ヶ岳登山の疲労を感じさせないくらい、順調なペースで歩みを進めた。ところが、出発して1時間もたたないところでトラブルに見舞われた。私のヘッドライトが消えたのだ。初めて山で使うライトだった。一般的なヘッドライトとは違って、豆電球にクリップがついていてそれを帽子のツバにつけて使う簡易的なものだった。充電式なので電池を持っていく必要もなく、かなり軽量化できると考え採用した。光量もいつも使っているブラックダイヤモンドに負けないくらい十分あった。しかし、充電が切れてはただのストラップにすぎない。いつものライトも持ってくるべきだったと猛省した。そもそも劒岳に行くのに新しい道具を使うのも大間違いだった。「反省反省精進精進」と心の中で繰り返し唱え、あーちんに謝って日が出るのを待った。そこまで気温が下がらなかったのは不幸中の幸いだ。
山頂までの道のり
カニのタテバイをはじめとするスリリングな岩場には、親切にも鎖がかかっていたが、霧で濡れており、たわむので油断できない。キャンプ場を出発してから山頂に着くまでの約3時間、ザレ場とガレ場の繰り返しで、落石を起こさないように注意して足を運んだ。ちなみにこの間、展望はなかった。イェイ。
登頂
ついに頂上に達した。が、あたり一面ガスで真っ白だ。溢れんばかりの人がいるので辛うじて頂上と分かるものの、想像していた展望や高度感、期待していた達成感はなかった。とりあえず写真を撮ることにし、他の登山者にお願いして2人で記念写真を撮ってもらった。
そこから、早く下山したい私と、もう少し粘りたいあーちんのプチバトルがあり、40分ほどの滞在の後、いつかのリベンジを誓って山頂を出発した。
下山、恐怖のカニのヨコバイ
下山ルートには悪名高きカニのヨコバイが待ち構えていた。「見たらわかる、やばいやつやん!」と突っ込みたくなるような様相で、我々が足を踏み入れるのを、今か今かと待っていた。あーちんが先陣を切って進んでいくのを指と指の隙間から見ていた。ついに自分の番が来た。後ろで待っている人がいるのでぐずぐずできない。あーちんが足場を教えてくれるのでそれに従って足をすすめた。たわむ鎖が、霧のせいか手汗のせいか、ツルツル滑る。少しでも油断すると、ドジョウのように手からすり抜けそうで必死だった。カニのヨコバイを通過したことが分かると、思わずホッと息をついて安堵した。その後は順調に進み、無事、劔沢キャンプ場まで戻ってきた。お茶を淹れて一服した後、雲行きが怪しかったので、雨が降り始める前にテントを畳んで雷鳥沢キャンプ場に下りた。
雷鳥沢キャンプ場から、急な石畳の坂道をせっせと登り、雷鳥荘に日帰り入浴しに行った。幸運なことに貸切で、晴れていたら最高のロケーションであろう温泉を独り占め。しっかり長風呂し、のぼせた体にサクレレモン味を染み渡らせる。明日は別山に朝駆けし、立山三山を周回しようかと話し、キャンプ場に戻って就寝した。
コメント
確かに登山道も怖かったんだけども、それよりもずっと怖いのは…展望がないことなんだよね、怖。
※ここまで劔岳の全貌はまだ見ず(^_^;)
とらちゃんは、カニのタテバイも遊具みたいにスイとよじ登るし、ヘッドライトが切れた以外は至って元気そのものでしたが、山頂についた途端にマラソンの折り返し地点かのようにUターンするので慌てて止めたあーちんなのでした笑
鎖が濡れていて掴むのに必死だったり、浮石地獄を前後の人にラクさせないように通過したりとどうしようもないことで疲れてたのもあってか、雷鳥荘の温泉とその後のサクレは染みましたね。こんなにうまいアイスがあるのか、この時の味はどうやっても忘れられないと思います。
そう、なかなかの強度だったのに達成感がなかったので、次回があれば絶対に再挑戦したいと思っているお山のひとつです。