はじめに
みなさんこんにちは。とらちゃんです。
『放浪山旅|大雪山系巡り』では、部活の夏合宿(大雪トムラウシ縦走)終了後に、一人で再入山し、4泊5日で大雪山系を満喫する様子をお届けします。「せっかく北海道まで来たんだから!」精神で、「合宿では行けなかったところに足を伸ばしてみた!」を詰め込んだ山旅となっております。
#04で両親と山で合流し、抜群の天気の中、裏旭〜白雲岳を満喫する様子をお届けします。どうぞお楽しみください。
父は晴れ男
この日は、たまたま香川から北海道に来ている両親と合流。白雲岳避難小屋から裏旭キャンプ場まで迎えに行く。
到着が予定時刻よりも遅れていたので心配していたのだが、想像していたよりは大分元気そうな姿で現れた。父が晴れ男だからだろうか、この日の天気は最高で、雲ひとつない青空が広がっていた。

母は登山好きで、週末はよく父と一緒に山に行っている。そして、どこに行ってもたいてい父はついて行く。一度母との会話中に、「いやあ、〇〇山はさすがにお父さんもついてこんのちゃん?」と聞いたことがあるのだが、母は「いや、私が行くって言ったら絶対ついてくるね。嫌だとは言わないよ。」と答えた。何事にも自信がない母にそこまで言わせてしまうのだから父は本当に偉い。
ついでにもう1つ、父の山エピソードを挙げておこう。父と母で登山に行くと、基本母が前を歩くそうなのだが、時折、後ろから父が何かボソボソ言っているのが聞こえてくるという。耳を澄ませて聞いてみると、「ありがとうございます、ありがとうございます。」と唱えているんだとか。やっぱり父は本当に偉い。
父のエピソードばっかり載せると母が悲しくなりそうで少し不安なのだが、これ以上家族の話で尺を取るわけにもいかないのでまたの機会に…。


母と白雲岳
順調に白雲岳避難小屋までは来られたものの、父が相当疲れてしまったようなので、父は小屋にお留守番させて、母と2人で白雲岳に行くことにした。母も少し渋っていたが、「絶対後悔させないから!」と半ば強引に連れて出してしまった。荷物は軽いものの、コースタイム1時間の登り坂はしんどかったようだ。途中弱音をはいていたため、引き返そうなんて言い出したらどうしようかと少しドキドキしていたが、なんとか山頂まで来ることができた。この日は雲海が少し出ており、縞模様の特徴的な山肌と、ふわふわした白い雲とがなんだかメルヘンな世界を作り上げていた。私はここに来るのはもう3回目だが、全く飽きることがない。やっぱり、好きな山ランキング1位更新だ。

ただいま
日が沈むと足元が見えづらくなり、老眼の母にはしんどいだろうから早めに山頂を出た。帰り道、遠くに見えた白雲岳避難小屋は、まるでアニメーションのような、ミニチュアのセットのような、なんとも可愛らしい佇まいで建っていた。

小屋に戻ると父が私たちの帰りを待っていた。せっかくなので、3人でご飯を食べることに。テントから自分のアルファ米を持って小屋に向かった。父と母はフリーズドライのカレーを食べていて、すごく美味しそうだった。きっと、そんな目をしていたんだろう、「食べる?」と聞かれたが、なんか遠慮してしまった。食料が限られた山のなかで人の食べ物に手を出すのは、たとえ相手が親であっても気が引けるものなんだと実感した。
でも食後のデザートはちょっと、いや結構もらった。なんか小学生の遠足みたいにチョコレートとかグミを小分けにしてジップロックに入れているのが、すんごく魅力的に思えて、手を出さずにはいられなかった。母は自分のことをガサツだと思っているようだけど、そこそこマメだと思う。ガサツな人間は小分けにしたりしない、トレイルミックスも作らない。そう、とりあえず入るだけザックに押し込むのだ。何でもかんでももらったものを学校の机に押し込んで、奥で大事なプリントがぐしゃぐしゃになってる学生時代だったことが容易に想像できてしまって恥ずかしい。

テントに戻ると、風が強く吹き始めた。テン泊勢の中にはテントが壊れて小屋に避難する人もいた。明日は白雲岳で日の出を見る予定だ。風がゴオーゴオーと恐ろしい声を上げるなか、ぎゅっと目を瞑って眠りにつく準備をした。
エスケープ
翌朝、朝食の準備のためにお湯を沸かしていたのだが、カップ麺のフィルムを剥がそうと、シェラカップから手を離した瞬間に、強い風が吹いてテントのフロアがフワッと浮き上がった。ガス缶がぐらっと倒れかかったのでとっさにガス缶を抑えたが、上に乗っていたシェラカップがひっくり返り、沸騰真っ最中のお湯が手に直撃した。
白雲岳を経由してから下山する予定だったが、さっさと下山したほうが良さそうだ。まだ日が明けないうちに黒岳リフト乗り場に向けって出発。
電波の入るところで、看護師の友達にラインでやけどの写真を送ると、病院に行きなさいとのこと。はあい。
ロープウェイで層雲峡までおり、そこからバスで旭川市内に戻った後に、病院を探して無事受診することができた。病院にふさわしくない不衛生極まりない格好で行ってしまったが、優しく受け入れてくださりホッとした。せっかくの優雅なソロ山旅の締めがこんなにドタバタとしているのはなんだかなあ。反省反省、精進精進。
最後に
これにて『放浪山旅|大雪山系巡り』が完結です!(終わり方…)
これは余談なんですが、この山行の後、大雪山系で約三週間、自然保護ボランティアに参加しました。「お前が言うな!」という感じですが、やはりパトロールしていると準備不足だなあ、と心配せずにはいられないまたそこでの出会いも北海道滞在を一生忘れられない思い出にしてくれました。改めて、ワンゲルの皆さん、あーちん、母父、ボランティア期間お世話になった方々、ありがとうございました!
そして、ここまで読んでくださった皆さん、ありがとうございました。つっこみたくなる場面が多々あったかもしれませんが、少しでも楽しんでいただけていたら幸いです。
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